漫画感想『終わった漫画家』|福満しげゆきのゲス思考×可愛い女の子が化学反応を起こす「 汚いバクマン。」

打算たっぷり!業界の裏側を攻略してヒット漫画を目指せ!

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バクマン。という大ヒット漫画がありますよね。夢に向かって、努力と友情で漫画を描く、少年漫画らしい爽やかな作品です。

それとは正反対に、それぞれの打算ありまくりで漫画業界の暗い裏側を攻略し、セコくヒット作を目指すのがこの「終わった漫画家」。

漫画家になって一儲けしたい「B子」、玉の輿に乗って失った青春を取り戻したい「A子」、将来が不安でたまらない落ち目漫画家の「先生」。

この3人が出会い、ある「役割分担」でヒット狙う漫画を作っていくことになるストーリーです。

 

3人がちょくちょく開く対策会議では、元(やや)売れっ子、現在落ち目の「先生」が

  • 漫画家と編集の「やりたい度数」の黄金比は?
  • カップルで漫画を描くことについて
  • 「連載至らせパワー」を持つ編集を見分けることが出来るのか?
  • 流行りジャンルの二番煎じを描けと言われたら??

など、漫画業界のリアルかつ暗〜い裏側を語ります。

福満先生の他のエッセイ漫画を読んでいても分かるのですが、先生がこういった漫画裏側ゴシップ(女性漫画家キャバクラ軍団とか…)にすごく詳しいからこそ作れるストーリーだと思います。漫画好きにとってはめちゃくちゃ面白い〜!

 

ちょっとダメなところが魅力の女性キャラクターたち

過去の福満先生の作品に出てくる女性って、エッセイに登場する「妻」は実在する奥様がモデルですし、

 

ストーリーものに出てくる女性はこう…「あまり女子に関わることなく生きてこられた」福満先生のが思い描く理想像か、もしくは妻さんの性格が反映されたキャラクターが殆どだったように思います。

 

先生自身の自己投影は、あくまで男性主人公や男性キャラクターのものでしか無かったんですよね。

それが今作では、女性キャラクターの中に福満先生の思考が入っている!

A子は美人だけどちょっとおバカで、高学歴の編集さんに調子に乗って交渉した結果怒らせてしまい「 大卒こえ~」と涙したり、年下であるB子にビビりまくり。

B子も、孤高の漫画家を気取るも実際はクラスから浮いている存在で、自信満々で漫画を描くも評価されず自暴自棄になったり、実は脆い。

 

福満先生の描く女の子は可愛い、というのは定説ですが、今作で、福満タッチの「色っぽくて可愛い女の子」に福満先生のダメな部分が入るとこんなにも愛らしいキャラクターになるのか!!と驚きました。

もちろん一番投影されているのは人生に不安しかない漫画家の「先生」 なんでしょうけど…。

 

あとがき(長すぎ)によると最初は登場予定はB子のみいて、 A子は福満先生でいう「エヴァンゲリオンシステム」 にて採用されたんだとか。

まあ本当にこの女の子2人の女の子が可愛くて・・・。大正解だったと思います。

この漫画の最大の魅力は、福満先生の独特のセリフ回しによるこの3人の掛け合いや女の子の可愛さ(最近のリアルタッチの絵柄も可愛いです)だと思うので、

この漫画の魅力を私の絵と文章で説明するのは難しい!ぜひ一度読んでほしいです。

色々と積み重ねたものがある福満先生にしか描けない「汚いバクマン。」。とくに漫画好きの人にほど勧めたい作品です。

 

あとがきにて、「この漫画を読んでいるのはその地域であなたしかいません!」とも福満先生自身が豪語しているので宣伝してみました。

このあとがきも読んでるだけで不安感が伝わってきて心が痛いくてそこがたまんない。

 

同作者の作品で、パクリ騒動で話題になってしまったゾンビ取りガールですが 

「ゾンビ取りドラマ」問題、その後をご存知ですか…作者が四コマで激白。/そして「アイデアと模倣」をまた考える。 - 見えない道場本舗

こちらもめちゃくちゃ面白くてゾンビ好きに勧めたいのでいずれレビューしたいと思います。

更新者:こま津

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冬キャンプに行きたい主婦。