読書感想『あるかしら書店』|「本」という物体そのものにワクワク!子供に贈りたい本。

『あるかしら書店』ポプラ社 著/ヨシタケ シンスケ

「本」という物体に憧れた子供時代を思い出す本。

この児童書を読んで思い出したのは、私が「本」というものに初めて憧れた幼稚園の頃。VHSを繰り返し繰り返し見ていたディズニー映画の『美女と野獣』がきっかけでした。

主人公のベルが夢中で青いハードカバーの本のページをめくる姿、本屋さん(図書館?)に駆け込み、本棚のはしごを登って次に読む本を選ぶシーン。そしてお城の、天井まである図書館をプレゼントされるシーン。すごくワクワクして、本というものに憧れたんです。ハードカバーの本や辞書など「それっぽい本」を見つけると、内容が分からなくてページをめくったり手に持ってみてうっとりしていました。

今でも漫画や本が大好き。本屋さんで働いたこともあるくらいなのですが、やっぱり幼少の頃の「本」への憧れがあったからここまで好きになったのだろうと思っています。

電子書籍が発達して、「紙の本」の存続すら危ぶむ声のある世の中です。そんな中紙の本にしかない、物体としての「本」のワクワクが詰まったのがこの『あるかしら書店』。子供たちに読んでワクワクしてほしい。そして読んだ子はきっと本を好きになるんじゃないかな と感じる素敵な本でした。

あらすじ|「本」という形、それだけでこんなにもワクワク。

「本にまつわる本」の専門店に、「こんな本、あるかしら?」と訪ねてくるお客さんたち。店主のおじさんが「ありますよ」と答えてくれます。漢字にルビがないので対象年齢は小学中学年くらいからでしょうか。

こんな本があったらいいな、こんな本屋さんや読書グッズがあったら面白いな、という「本にまつわる妄想の本」。これが楽しくて。私が特に好きなのは

  • 書店婚
  • お墓の中の本棚
  • 月明かりの下でだけ読める月光本
  • 年々水位が上がる、水中図書館

あたり。すごく楽しくてワクワクして、本当にあってほしい。

自分も本について妄想したくなるし、これを読んだ子供たちがほかにどんな本にまつわる妄想をするのか聞いてみたい。とっても夢があります。

妄想以外にも、図書館や本屋さん、本そのものについても描かれています。本屋さんについて「検索ではたどり着けない新しい世界をいつも用意してくれるところ」と語った一説なんか、本当に素敵です。図書館や本屋さんに行きたくなる。

著者、ヨシタケ シンスケさんの妄想力

絵もすごく可愛いな〜と思っていたら、大ヒットしている絵本「もうぬげない」の作者さんだったんですね。

『もうぬげない』ブロンズ新社 

これもとっても可愛いお話です。ささやかだけど考えつかなかった、でも誰しもが子供のころに考えたことがあるような、服がぬげないところから物語を膨らませる妄想力がすごいなと驚いた絵本です。

姪が絵本を自ら選ぶような年齢になり、最近は児童書を目にする機会も増えました。絵本って昔からあるものだけでなく、現在も素敵な新作を描かれてる作家さんが沢山いらっしゃるんですね!

『あるかしら書店』刊行記念 ヨシタケシンスケさんインタビュー | | WEB asta

 

私が『あるかしら書店』はを知ったのはつい最近ですが、すでに10万部を超える大ヒットとなっており、ポプラ社では過去に実際にある本を紹介するフェアも開催されています。タイトルも良いし汎用性がありそうですよね。

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自由に好きなことを書き留められる文庫型の手帳。中身のイラストも可愛い〜!近場の本屋さんに売ってなかったのですが、見つけたらすぐ買いたい。中身はこちらのブログが詳しくレビューされていました。

小さい頃に美女と野獣を見て本好きになった自分のように、本という物体に憧れたりワクワクすることで、子どもたちが本を好きになるきっかけになりそうな本です。子供ができて、本が読める年になったらプレゼントしたい本のひとつになりました。

今日書店に行ったら、クリスマス限定のカバーバージョンも出てました。(ちゃんと通常時カバーも下にありましたよ)かわいい・・!

内容もプレゼントにぴったりなのでとても良いアイディアだと思います。こういう装丁や、贈り物として楽しめるのも紙の「本」ならではですね。