「良くなかった」をイヌたちへ。|炎上中の『けものフレンズ2』9話について考えたこと

イエイヌが登場、炎上した9話

けものフレンズ2』9話が放送され、イエイヌの扱いについて、ネットでとても炎上しています。実際に私も、悲しい、可哀そう、ひどい、そんな感想を持ちました。ダメージが大きく、この文章を書くまでにも時間がかかりました。でもそれも含めて素晴らしい回だったと思うんです。

 


9話あらすじ※まだ見ていない人はネタバレ注意※

「ヒト」であるキュルルが、サーバルカラカルとともに自分の家を探す旅をしている中、ずっとヒトを探していたという「イエイヌ」が登場。拉致という形でで自分の家にキュルルを連れてきたイエイヌは、ヒト、つまり自分のご主人がいなくなったジャパリパークで、ご主人の帰りを待ちずっとずっと留守番をしていた。

やっと出会う事の出来たヒトに大喜び。一緒に遊んでもらい、命令をしてもらい、 本当に本当に無邪気に喜ぶんです・・・。イエイヌはキュルルとずっと一緒に過ごすことを望みます。
そしてその後キュルルの前に現れた猛獣「ビースト」 に必死で立ち向かう。大好きなヒトを守る為ならとボロボロになりながら戦います。

そこに追いついたカラカルサーバルの野生パワーによってビーストは撃退。キュルルはボロボロのイエイヌをよそに、ビーストを撃退したサーバルを誉め、楽しそうにしています。 その姿を見たイエイヌは、ボロボロのまま以前の我が家に戻り、本当の自分のご主人を待ち続ける生活に戻ったのでした。

最後のお願いとして、キュルルに「おうちにおかえり」 と命令してもらって。

このあまりにイエイヌが報われない残酷な展開が炎上の原因でした。 イエイヌがかわいそうだ、不憫すぎるとニコ生のアンケートでは最低評価である「良くない」の割合が90%を超え、

史上2位になったそうです。

 

ヒトとイヌのやさしくない世界

どんなに酷い目にあってもヒトを慕い続けるイエイヌの姿には本当に胸を締め付けられました。「やさしい世界」を求めていた、私を含めた『けものフレンズ』ファンにとっては特にそうだったと思います。

でも考えてみたんです、現実のイヌも同じなのでははないかと。

ヒトの為に改良され、
ヒトの為に飼育され、
ヒトによって捨てられ、
ヒトの都合で、命を奪われる。

 

日本で殺処分される犬は年間約7万頭いるそうです。

もちろん素敵なご主人に愛され、幸せな一生を送るイヌが殆どだと思います。でも一部の人間によって、可哀そうな結末を迎えるイヌがこれだけいる。


でもイヌはずっとヒトが大好き。捨てられても、きっと殺処分されるその時までご主人様の迎えを待ってる。


私もずっと犬を飼っていました。
家族みんな働いていたので日中は家に一匹にすることが多かった。そして夕方家族が帰ってくると、体当たりしてすり寄って、しっぽがちぎれるくらい喜んで、誰か一人でも帰って来ていないとずっと玄関で待っていました。
過去形なのは去年亡くなったからです。20年近く生きてくれました。ここ数年は実家を離れた私がたまに帰ってくると、よぼよぼの身体で、力は弱くなったけど昔と同じようにしっぽを振って体当たりして喜んでくれました。


大好きな散歩に行けない日もあった。怒りすぎてしまうこともあった。決して100点のご主人ではなかったかもしれないけど、とてもとてもヒトを愛してくれました。

なんて不憫で愛しい生き物でしょうか・・・・。

 

動物について考えること

私は『けものフレンズ』はアニメになってから知り好きになりました。前作と変わってしまった部分の多い『けものフレンズ2』 は確かにショックでしたし。

こちらの記事は『けものフレンズプロジェクト』の歴史とについてよく分かり、また『2』への考察に大変感銘を受けました。過去にはゲームからアニメになったときのショックも大きかったんですね。

でもきっと、「動物にのために」「動物についてに考える」というテーマは『けものフレンズプロジェクト』を通しずっと変わっていない。

野生動物についての問題も色々あるとして、この9話は身近な存在であるイヌ、またすべての「ペット」という動物について考えるきっかけをくれたのではないでしょうか。

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全体の9割、きっと多くの人が判断した「良くない」 は、そのまま現実の、ヒトの都合で可哀想なことになるイヌたちへの「良くない」なんじゃないかな、と感じます。

可哀想なイヌを救うのは我々ヒトしかいないんだ。