恐い間取り|「ちゃんとした怪談」を存分に味わえる本。【読書感想文】
恐い話が好きな人ほど満足すると思う本
私は「恐い話」が大好き。
稲川淳二さんの怪談を中学生のとき初めて聞いて衝撃を受け、DVDを借りたり、それ系のテレビ番組は欠かさず見れるようにしてきました。
でも私が年をとってしまったからなのか、最近あんまり本気で恐いと思える怪談がない。ネットで探しても、2ちゃんの怪談がほとんどで、いまいち面白くなくて・・・
そんなジレンマのなか出会ったこの本。本当に恐い。途中で読むことを放棄したくなるくらい恐い。
文章でここまで恐怖を感じたのは初めてです。でも次はどんな怪談が・・・?と気になってページを捲る手が止まらない。
そして家が恐くなりました。この文章を書くだけで思い出して恐いです。ほんとに。
「恐い間取り」のあらすじ
著者は「事故物件住みます芸人」として活躍する松竹芸能所属の松原タニシさん。
テレビ等でも活躍を見たことがある人も多いのでは無いのでしょうか。
その松原さんが実際に済んだヤバすぎる部屋や、
不動産屋で見せてもらって検討した物件、
さらに芸人仲間の住んだ事故物件など、
メインは事故物件に関するお話。
それから松原さんが過去に体験した恐怖体験や、特殊清掃(意味は調べてみてね!)の体験談などもあり。本当にすべての話が恐すぎる。
この本を手に取る機会があれば、まずパラパラと、間取り図を眺めてほしいです。
表紙にもありますが、もう間取り図だけで恐い。
- ペンキで塗りつぶされた鏡
- 畳の下に◯◯
- 住人が連続で◯◯した押入れ
などなど・・・
洒落にならない事故物件の数々
たとえば一軒目に出てくるのは、
- 壁や床などが不自然なくらい綺麗すぎる
- 1階がまるごと駐輪場に改築されているけどだれも停めていない
- 閉鎖されている階がある
など、こんな物件があるの・・?と違和感だらけのマンション。
読み進めていったらある事件の起こった物件とのこと。
事件に詳しい方なら「あの事件だ!」とピンとくるかもしれません。
そしてそのマンションは一部屋だけでなくマンション全体が事故物件とのことで、
事件前から異様なことが起きるマンションだそう。エピソードがほんとに恐すぎてぞっとします・・・。
序盤から予想以上のヤバい物件のお話でしたが、こんなお話がわんさか載っています。
文章の書き方が上手くて怪談としてのクオリティが高い
著者の松原さんは文章を書くのが上手だな、と読んでいる最中に何度も思います。
自身の経験や身近なひとの経験、実際にある物件や事件からくるリアルさもですが、
思わず人に話したくなる、最後にギャーーッと恐怖に慄く構成になっていて、
本当に怪談としてすごく面白いです。
さすが芸人さん、と感じる語り口もあり吹き出してしまう場面も。私は首セブンがツボでした。
最後に
ものすごく恐くて、事故物件って本当にあるんだな、さらには幽霊ってほんとにいるんだな、とまで思ってしまいました。
それと同時に久々にちゃんとした「怪談」を味わえたなーーー!と嬉しい気持ちにさせてくれる本でした。
そして、第3章「黒い人」の「あの写真」を見てしまったら、松原さんが数年後に生きていてくれることを祈らずにいられません。