漫画感想『古代戦士ハニワット』|日本の伝統と古代ヒーロー×平成初期ライダーのシリアス感。
第2巻の発売を明後日に控えた『古代戦士ハニワット』。滑り込みにはなりますが、先月発売された1巻の感想を・・・。『鈴木先生』から武富健治先生の大ファンかつ、平成ライダーはじめヒーローもの好きの私としてはとても楽しみにしていた作品です。
設定とあらすじ
長野県の善光寺に突如現れた謎の土偶。立ち向かう人々を殺戮し街を破壊するこの土偶に、この日を予見し準備してきた「特殊祭祀」部隊と、古代より伝わる土人形「埴輪徒」が立ち向かう!というストーリーです。
1巻はまさに「序章」。冒頭は戦闘シーンで始まり、それから時間を遡って、バトルに至るまでの準備の経緯と、キャラクターと世界観の紹介をじっくりじっくり描いています。それを飽きずに、いやむしろのめり込んで読んでしまうのは「必ずこの先に何かある!」「すごいドラマが待っている」という空気が、作り込まれた設定からビンビンに伝わってくるから!世界感に引き込まれるストーリー作りが本当に見事です。
日本の伝承×ヒーロー。先生、私もこれが読みたかったです・・・。(1巻までネタバレ感想)
巫女が舞を踊り、神輿で「埴輪徒」を運ぶ「特殊祭祀」チーム。「寺社会議の本部」という単語から察するに、おそらく全国の寺社からなるチームであり、神武天皇の時代から現代まで、土偶と戦う神事を行うために存在する組織。
日本の伝統や神道、寺社仏閣×ヒーロー。めちゃくちゃかっこいい・・・。こんなにしっかり神道や歴史に関するものって子供向け番組じゃ出せないじゃないですか多分。漫画でしか読めないですよこんなの。
「僕がずっと読みたかったものを、読みたかった形で、煎じ詰めて書いています」
『古代戦士ハニワット』 1巻あとがきより
武富先生はあとがきでこう語られていますが、まさに、私も、これが読みたかったです!!本当にありがとうございます!!!寺社仏閣や神話への関心がより高まりました。
『惨殺半島赤目村』や『ルームメイト』などホラーものと武富先生のタッチの相性は最高だと思うのですが(本当に怖くて途中で何回か本を閉じる。)、今回も力強い筆のタッチで土偶(蚩尤)の禍々しいオーラ、殺戮の恐怖を倍増させてますね・・・・。
バシバシに感じる平成初期ライダーイズム
謎の敵の脅威に為す術がない警察。
そしてその前に遅れて現れる真打ちの祭祀チーム。
すべてを知る謎の不老不死の美青年。
組織として行う敵への対策・・・・。
う〜〜〜〜んこの随所から迸る平成初期の香り!!さらに作品全体の重苦しくリアルな空気感は平成初期の『仮面ライダー』シリーズが好きな人にはたまらないはず。
武富先生は参加されていた『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』でも、平成ライダーに対する愛を語られておりましたね。先生の願望や好みが詰まった今作で、同書で語られている「能力持ちのヒロイン」が誰になるのかも楽しみなところです。
語ろう!クウガ・アギト・龍騎 【永遠の平成仮面ライダーシリーズ】
- 作者: レッカ社
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『クウガ』『アギト』の警察サイドや、『響鬼』の猛士、それからスーパー戦隊シリーズでの『シンケンジャー』の黒子たち、『ゴーバスターズ』の管理局特命部・・・・。こういった「ヒーローを支える人々」の描写が濃い作品、大好きなんですよ〜〜〜。
「この物語は、古代より綿々と続く神々の人間界への干渉と、それと対峙する人間達のドラマを描くものである」
『古代戦士ハニワット』表紙より
またこの表紙の紹介文がね、それと対峙する”ヒーロー”ではなくね、”人間達の”と表現されるところがね!!!『ハニワット』にはそのエキスが凝縮されているのを感じます。
2巻が楽しみで仕方がないです。というのも本当に話の作りが上手くて・・・。これからいよいよ冒頭の戦闘シーンに繋がっていくんですが、そこでは謎の(人外だろうか)美青年オグナが現場に到着しており、「何か」があって「真具土モード」のハニワットになり、「何か」が起こって正妻ポジションのクマリさんがそこにおらず、そのポジションに柔里ちゃんがついている。
この「これからの展開が読めるとこ」と「分からないとこ」のバランスがすごく良くて・・・・。もう続きが気になること気になること。短期間での2冊発行で本当に助かりました・・・。
↑平成初期ライダーとの類似点など的確に表現されている結騎さんの感想はこちらです。
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更新者:こま津
観たい映画は車で2時間かかる映画館に行かないと観れない土地に住んでいる主婦です。