読書感想『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』|笑いと冒険のスーパーエンタメ本

ラジオでおなじみの鳥類学者:川上和人先生の著書

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

「どうも〜〜〜鳥の川上です」

このフレーズが脳内再生される方も多いのではないでしょうか、大人気ラジオ番組『夏休み子供科学電話相談』でおなじみ、鳥類学者の川上和人先生。

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私は惜しくもこのラジオを知ったのが今年だったのですが、キッズたちの愛らしさと発想力、先生たちの真剣な対応と人柄に惹かれ一気にファンになりました。とくに川上先生のトーク力はエンターテイメン卜性が強くていつも笑わせてもらっています。

書店で著書を発見し早速拝読したのですが、川上先生、もうほんとに文章が上手で面白い!一気に読んでしまいました。ワクワクが詰まった研究者の脳内を少し覗かせてもらえるような本。

 

散りばめられる漫画と映画の小ネタ

「この本を手に取ったってことは君と私は友人だ、友人なんだから俺の話聞くよね、さあこの本を読め!!」と冒頭からぶっ飛んでる先生。冒頭のツカミだからというわけではなくずっとこのテンション。高田純次さんかってくらい二言目にはボケが飛び出し、ツッコミ不在のためボケが止まらない。ボキャブラリーも豊富なのですごく面白く、笑いながら読めてお硬さゼロ!科学者であるということを忘れてしまいます。

そして先生、美女とそして映画と漫画が好きすぎるんですね。シュワちゃんジェームス・ボンド、ルパンは何回も出てくるし、ドラゴンボールジョジョネタ、ガンダムドラえもん、特撮ネタなどちょこちょこ挟んできます。大人の笑えるネタが満載です。

 

川上先生と一緒に冒険の旅へ

鳥類学者さん、予想よりも体力勝負のお仕事なんですね・・・。無人島、ジャングルなどで時に灼熱の太陽と戦い、落石の危機をくぐり抜け、10メートルの垂壁を登る。調査前には体を鍛えられるそうです。一緒に冒険に行っているようで読んでいるとワクワクします。

ジャングルでは虫と戦い(聞いただけで失神しそう)、海ではウツボ襲われ、街ではアルコールとの戦いに破れ転んで流血・・・など川上先生の冒険の旅をワクワクしながら読み、それにより調査された鳥たちのことが学べます。また鳥の話からヤギ、カタツムリ、ネズミ、恐竜、しまいにはチョコボールキョロちゃんにまで発展し、もどれもすごく興味深いです。

外来種問題、森林問題などに対しては真摯な態度でしっかりと語られているので、考えるきっかけになりますね・・・。

 

受け身で開ける道もある

この本を読んで、ラジオで聞く以上に川上先生の鳥への愛と、仕事を楽しんでおられることがすごく感じられて、天職とはこういうものかと感動しました。

意外にもこのお仕事に就かれたのは成り行きというか偶然だそう。人の助言を受け入れ、やってくる依頼を断らずにやり続けてきた結果ということで、「歩けばきっと棒に当たる」という言葉がとても刺さりました。

やりたいことや大志が見つからなくても、受け身の姿勢で目の前のことに一生懸命取り組んでいれば天職に巡り会えることもある。

希望とワクワクを頂き、大いに笑い、鳥や環境問題についての興味の入口になりした。とても良い本でした。他の著書も早く読もう〜〜! 

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (新潮文庫)

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (新潮文庫)

 

 カールが販売縮小してしまって、川上先生は大丈夫だろうか・・・・。